コンサルタントの清水さん
清水さんに初めてお会いしたのは、一昨年の春でした。コロナ禍だったので、皆がマスク生活をしている最中にトミーにいらっしゃいました。一日工場診断をしていただき、ヒアリングと称した時間にはあまり社内で言ってこなかった私の抱えている悩みや困りごとを包み隠さずにお話ししました。
「それは大変だ!いろいろとご苦労でしたね」
清水さんの眼差しが優しく、いろいろと温かい言葉がグッと心に入ってきて目頭が熱くなりました。
その日から1年ちょっとお付き合いいただき、コンサルティングが始まりました。
先代の父から代替わりして、いざ私が社長になってみたら、今まで気づかなかったというか不便を通り越して世の中から取り残されて浦島太郎状態になっている社内のIT事情にハッとしました。数名の社員でパソコンを共有して使っていて、一人一台確保できている社員は数えるほどしかいませんでした。社長就任の挨拶回りを3か月くらいした後、コロナの蔓延がひどくなり、やっと社内に目を向けて、どう改革していこうかと思った矢先、一人の社員が不意に発した言葉に絶句しました。
「パソコン空いたよー」
耳にした時、ショックでした。パソコンが足りていない状況を社員が会社に遠慮して言えないでいる。なんでもっと早く気づいて、父とけんかしてでもこの状態を変えなかったのかと、自分自身、とても反省しました。うちの父親は人情味に溢れている反面、良くも悪くもワンマン経営で、パソコンなんて使ってないでとにかく外に行け!そんなものに頼るな!と昭和の体育会系な考えでした。自分が苦手なパソコンは社員にもあまり必要ではないと勝手に考えていました。パソコンに関する一番最初の記憶としては、社内に98シリーズ以降のWindowsを導入する際に私とぶつかり、ほんの数台を設置するのにも大変時間がかかりました。長い年月がそこから流れ、事務所のLANは継ぎ足し継ぎ足しのへんてこりんな構築になり、その管理も一人の社員が牛耳りながら担っていて、その他の社員が手出しも口出しもできないような環境になっていました。
とんでもない状況の会社を変えるためには、管理者の人に話してパソコンをたくさん導入してもらおう!簡単なことだと思い、話にいきましたが、思いもよらず拒否されました。
この会社、どうなっているの?おかしいや。
それから数日、社員全員からIT環境の困りごとの聞き取りをし、今後は外部の業者さんに依頼してパソコンの導入やLAN再構築、セキュリティ管理などをお願いしようということになり、再び管理者の人を説得しにいきました。返ってきた答えは「私、会社を辞めますね」でした。
それから1か月間、業者選びからはじまり、IT化に向けて怒涛の日々でした。
いきなりIT化なんてわかんないよーと逃げる時間も余裕もなく、とにかく会社のITインフラを整えるためにその分野に詳しそうな知り合いに情報を聞きまくりました。
そんな時に工場のスマートファクトリー化のプレゼンをしていただいたのが、ウイングアーク1stの荏原さんでした。
世の中のIT化、DX化ってこんなに進んでいて、工場経営にもこんな明るい未来が待ち受けているのか…!目から鱗の楽しそうな未来のお話をお聞きして、頭が揺さぶられてうまく言葉が出てきませんでした。
私、止まっていられない。前進していかなきゃ!
それまでの不安が少しやわらぎ、明るい光を見出した感覚を得られました。
荏原さんのご提案により、一度、工場の現状診断をすることになりました。そこでお越しいただいたのが、テクノ経営ウェブソリューションズのコンサルタント・清水さんと現社長の大場さんです。
ライン生産で製品を作っている会社さんと違い、トミーは機械装置を組み立てて製造している会社です。荏原さんのプレゼンの未来とは少し業態が違いましたが、トミーに見合う未来へ向けて会社の成長をサポートしていただくことになりました。すぐにシステムソリューションの導入をするのではなく、基礎をしっかりさせるように、まずはエクセルでの情報共有からスタートしました。
そこからのコンサルティング計画でした。
最初は、コンサルタントなんて外部の人が偉そうに上から目線で話してくるだけだろうと、お手並み拝見的な気持ちの社員も見受けられ、どんだけのことを会社にしてくれるのかねと、それこそ上から目線で待ち構えていた様子もありました。
しかしながら、清水さんは皆に心を開いて根気よく話を聞いてくれて、そのあったかい気持ちに社員が徐々に心の内を見せられるようになっていきました。昔はご自身も工場長として働かれていたご経験があるそうで、働く側に立ってものを見てアドバイスをしていただけるので、ご指導も社員の気持ちに寄り添うものでした。人間同士なんだからいがみ合わず、人も部署も丸い円を重ね合わせながら助け合うことが大切だと仕事だけの例ではなく、生き方としての心得にも通じるコンサルティングでした。
何よりも仕事を楽しんで!といつもにこやかにお伝えいただき、優しく広いお心でみんなをつつんでくれました。
IT化、DX化、効率アップ、売上アップ、どれも会社には必要なことですが、根本には人の心があってこその仕事だと思います。清水さんにコンサルティングをしていただき、何が良かったか…。社員みんなに自信がつきました。自分から積極的に意見を言ったり、実行したり、お互いに助け合ったり。生き生きと仕事をする喜びがみなぎるようになりました。自分だけ得しようとかよく見せたいとか、そういった根性ではなく、自分のことだけではなく他の人との連携を大切にして、会社全体を見渡しながら仕事ができるように変わってきたと思います。
おこがましいですがお客様や協力企業さんに対しても、より真っ直ぐな気持ちで向き合えるようになってきたように思います。
コンサルティングを通して会社が変われる機会をいただき、清水さんとのご縁を大切に、その経験をこれからのトミーに存分に活かしていきます。
写真はコンサルティング最終日に開いた御礼の会の様子です。会社の食堂でアットホームに開催しました。清水さん、大変お世話になりました。改めまして厚く御礼申し上げます。
コンサルティング、本当に楽しかったです!
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